@KAITOだらけのボカロ一家

□KAITOだらけのボカロ一家・その16
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KAITOだらけのボカロ一家・その16

こんにちは、または初めまして、次男カイトです。
…無事生還できました。良かったです。
アカイトに膝枕で耳掃除をしてあげるまでは良かったんですが、そうやっている僕の目の前で長男カイトが僕のダッツを食べはじめ、更にマスターがちょっかいかけてきて、しかも榊さんは全然助けてくれなくて…
……うっ、な、涙が止まりません……ぐすっ…
でも、帰ってきてすぐ三男カイトに、
「兄さん大丈夫!?怪我とかしてない!?壊れてない!?大丈夫!?」
と過剰なほど心配され、三日三晩看病され、ようやく立ち直れました。
…三男カイトは天使です。お兄さんはカイトが大好きです、本当に。
あの子がいてくれて良かった……(遠い目)
というわけで、三男カイトの必死の看病のお陰で元気になりました。心配してくださった方がいたなら、ありがとうございます。貴方も天使ですね。大好きです。
さて。
実はですね、今日から我が家に炬燵があるんです。
少し前から三男カイトが欲しがっていたそうで、注文していたものが今日届いたんですね。どうやら毛利さんちに行った時に、炬燵を初めて見たようで、それからいたくお気に入りです。
それにしても、炬燵というものは気持ちいいですねぇ。ふわふわの布団と、暖房器具の合体。日本の冬を乗り越えるためだけに開発されたこの機械は、数十年前から全く形を変えることなく今に至っています。それだけ、最初から完成度が高かったと言うことですね。発明した人は天才ですねぇ。
「こったつー♪こったつー♪マスター、ありがとうございます!」
「おー。炬燵なんて何年ぶりかなぁ。良い物買ったな」
「えへへ♪こったつー♪」
三男カイトはずっとご機嫌で、目の前の籠からミカンを取ってはパクパク食べてます。炬燵でミカンを食べるというのをやりたかったと言っていて、すっかり手が黄色いです。ですが、確かにこれは癖になるほど気持ちいいです。ミカンも美味しいですねぇ。
長男カイトは炬燵に入るなり、なにやらモゾモゾしていたかと思うと炬燵に深く入って身をかがめ、動かなくなりました。試しに突いてみても、全く動きません。どうやら眠ってしまったようです。
「…いーぬはよろこび庭駆け回り、」
マスターがいきなり歌い出しました。何の歌ですか?
マスターは寝入っている長男カイトの頭にバランスよくミカンを乗せていきながら、歌を続けます。
「ねーこはこたつでまるくなる、ってなぁ。懐かしい歌だな」
長男カイトが身動きしたので、ミカンがバラバラと転がり落ちていきました。呆れて、炬燵から出てそれを拾い、籠に戻します。
「食べ物で遊ばないでください。じゃあ、兄さんは猫ってことですか?」
「んー、そうだな。なっかなか懐かないし、猫っぽいよなぁ」
確かに、長男カイトのプライドの高いところやマイペースなところ、それにフラッと現れたり消えたりするところは、猫にそっくりのような気がします。
本人に言ったら、全力で否定するか、どうでもいい、という生返事をするか、どっちかでしょうけれど。
「マスター、マスター。オレはなんですか?」
「んー?お前?…うーん、犬?」
「犬ですか?わんわん?」
「わんわんてお前…可愛いなぁこのやろう!」
「うひゃぁ!?」
三男カイトの頭をグシャグシャと撫でるマスターと、撫でられてワタワタする三男カイトを見ていると、確かに犬に見えてきます。可愛い子犬か、大人しい大型犬か、どっちかですかねぇ。…すごくイイと思います。可愛いですよね、犬。
「えと、その、じゃあ兄さんは何ですか?」
僕?
「そーだなー。犬か猫か…半々だなー」
「半分こなんですか?」
犬と猫と半々って…その二匹以外の選択肢はないんでしょうか。ガラパゴスゾウガメなどと言われないだけ、マシなんでしょうけれど。
「犬みたいに良い子だったり、猫みたいにワガママだったりするからなー」
「…ワガママなのは納得いきませんが、まあいいです」
ワガママだと言われるのはアレでしょうか。マスターの変態行為から逃げるからでしょうか。理不尽です。逃げますよ、普通。あんなことやそんなことされたら。
「兄さんはワガママじゃありません!兄さんは優しいんですよ!ご飯も美味しくて、歌も上手なんですよ!」
「か、カイト…」
不覚にもうるっときました。マスターは三男カイトのおでこを人差し指で突いて、あーはいはい、なんて言っています。
「そうだねー、カイトは優しいなー。よしよし」
「いたっ、いたいですっ、あたっ」
よしよし、という言葉と行動が全く噛みあっていません。三男カイトを引っ張って、マスターの魔の手から救います。
「カイトを苛めないでくださいったら。良い子だね、カイトは。ありがとう」
よしよし、と頭を撫でると、三男カイトは嬉しそうです。突っつかれたおでこがちょっと赤いのが痛々しいですが。
で、そうやって撫でていると、パシャッという音がしました。そして、一瞬だけ眩しい閃光が。
「うわっ?な、なんですかいきなり?」
「や、可愛い兄弟愛を後でじっくり見て楽しもうかなと」
後でじっくり見て楽しむ必要がどこにあるのか全く理解できませんが、別に変な写真というわけでもないと思うので、気にしないことにしておきましょう。
毎度毎度気にしていたら、こっちの身がもたないので。それにしてもカメラなんてどこから出したんでしょうか。さっきまで何処にも無かったのに。
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