毛利さんちのボカロ一家

□毛利さんちのボカロ一家・その2
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※先に徒然小話の「メイドと俺」を読んでからだと分かりやすかったりするかもしれません。

そろそろさあ、本当にどうにかしたいんだけど。
「ねえ、メイコねーさんもそう思うでしょ!?」
「そうねえ……」
お兄ちゃんと毛ちゃんの仲を、さっさとどうにかしたいと思う今日この頃なんです。
いつまでもモダモダウジウジメソメソうざってぇわけです。あ、ううん。お兄ちゃんはウザいなんて思ってないよ。ただ毛ちゃんにね、何で気づかないの!? って言いたいダケなの。
もうアレは気づいてて無視してるとしか思えないんだけど。アソコまで鈍感で今まで大丈夫だったのかな。不思議。
「でもコレは本人たちの問題でしょう。だからカイトかマスターがどうかするしか……」
「そんなの待ってたら毛ちゃんがおじいちゃんになっちゃうよぅ! 毛ちゃんの鈍感さはもう病気なんだよ!? ミクたちが手伝ってあげないと!」
「う……うーん」
そう言うと、メイコねーさんは考え込んだ。流石にどうかなあって思ったみたい。だよねー。
お兄ちゃんは買い物に行ってて、毛ちゃんはそれに付き合ってて今はいない。お兄ちゃんはデート気分で、すっごく嬉しそうなのを隠してるみたいだったけど、全然隠れてなかった。でもそれでも毛ちゃんは気づかないんだ。あんなに分かりやすいのに。
お兄ちゃんは隠し事するのがとっても下手。だってすぐに顔に出ちゃうし、嘘がつけないから。それなのに毛ちゃんは普通で。
「おう、ちょっくら行ってくるわ」
なんて軽い感じで出かけていった。お兄ちゃんはそれでも嬉しそうだったけど。お兄ちゃん可哀想……!
「ミクは全面的にお兄ちゃんを支援します!」
だってミクたちのことこっそり応援してくれてたし! 見守ってくれてたし! 今度はミクがお兄ちゃんを応援する番だよね!
「そう言うけど。何か良い案でもあるの?」
「毛ちゃんが気づいてくれないんなら、先に落としちゃえばいいんだよ! カイト、俺お前のことが……。マスター、嬉しい! って! ね!?」
「さむ……っ」
毛ちゃんの真似しながらメイコねーさんの両手をギュッって握って正面から綺麗な顔を見つめる。メイコねーさんは口の端を引き攣らせながら顔を逸らした。まあいいや。
パッと手を離して、まあそんな感じで! って言うと、メイコねーさんは呆れた顔で苦笑した。
「そんな上手くいくかしらー? 大体マスターってば男には全然興味ないし」
「うふふー。ミクは毛ちゃんの弱点なんてお見通しなんだよ」
「あらまあ」
ミクは毛ちゃんの好きなものも嫌いなものも知ってるんだ。だってこっそり毛ちゃんのパソコン覗いたりしt(ry
コホン。まあとにかく、毛ちゃんのツボは心得てるんですよミクは。
「まずはねー、絶対領域」
「ぜ……? なにそれ」
「これこれ」
ミクのスカートとソックスの間を指差して教えると、メイコねーさんはまた微妙な顔になった。
「……よくわかんないけど、マスターはそれが好きなのね?」
「うんそう。あとはねー、健気な女の子がご奉仕してくれるのが好き」
「マスターもつくづく変態ねえ」
メイコねーさんは今度は虫でも見るような顔をした。ああんもう、そんな顔も素敵だよメイコねーさん!
抱きつこうとしたら顔を手で押さえつけられてダメだった。ちぇー。
何事もなかったように、メイコねーさんは、それで? と先を促す。
「それが分かったからってどうするの? まさかカイトにやらせるわけじゃ」
「お兄ちゃんがやんなくて誰がやるの?」
もう、メイコねーさんったらとぼけちゃって。お兄ちゃんが毛ちゃんを落とすんだよ? メイコねーさんがやったって意味ないじゃん。見たいけど。
メイコねーさんは長い長いため息を吐いた後、遠くを眺めるような顔をした。
「……カイト、無茶しちゃって」
「ねーさん、お兄ちゃんはまだ死んでないよ」
これからはわかんないけど。
「んじゃあ服を秋野さんに借りに行こう!」
嫌がるメイコねーさんの手を引いて、家を出て秋野さんちに向かう。
あの人変態だけど、こんな時は役に立つもんね。勿論買収用のお兄ちゃんの写真もバッチリ☆ ミクってばとことん流石だよね。
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