AKAITOだらけのボカロ一家

□徒然ログ
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次男に褒められ隊

僕はよく、三男カイトの頭を撫でます。
弟可愛さというか、三男カイトが良いことをしたら、つい褒める習慣がついているんです。もう意識しないでやってしまっている、癖のようなものです。
いえ、いつまでも弟離れしないのは駄目だと思っています。けれど、頭を撫でて褒めると、三男カイトがそれは嬉しそうな顔をするものですから、それが可愛くてついやってしまうんです。
はい、本当に、三男カイトも子供ではないんですから、やめなければいけないと思っています。
思ってはいるんですが……やめられないんですよねぇ。僕もまだまだ意志が弱いです……
ああ、違います。そういうことを言いたかったのではないんです。
僕が言いたかったのは、
今僕の目の前で素晴らしいことをしたから褒めろと迫ってくる大きな子供をどうしたらよいのか
ということなんです。すみません、現実逃避がしたかったのです。
「……マスター、掃除の邪魔です」
とりあえず、目の前で起きていることをどうにかした方が良いと思ったので、そう言ってみます。
すると予想通りというか、マスターはそれに猛反発してきました。
「邪魔ってなんだよー!いいから俺を褒めろ!撫で撫でしろ!」
「撫で撫でしろ、と言われましても……」
なんなんでしょう、この状況は。マスターに何があったんでしょう。
「だーかーらー、俺もカイトにするみたいに優しく撫で撫でしろ、って言ってんの」
「いえ……それは分かるんですが、何故そうしなければいけないのかと」
「んなもん決まってんだろ。良いことしたら褒めるのが定石ってもんだろうが」
良いこと……?マスターがどんな良いことをしたというんでしょう。
「あの、マスター?」
「ん?」
「僕の聞き間違いでなければ、マスターはただ僕たちに着せるコスプレ衣装をよなべして作ったと言っているだけのような気がするんですが」
「その通りだが何か?」
「何か?じゃありませんよ。それのどこが良いことなんですか」
万が一でも僕たちが望んだことであればそれは確かに嬉しいかもしれませんが……まかり間違ってもそんなことはあり得ないので。むしろ全然嬉しくないです。
「酷い……!こんなに頑張って作ったのに!」
「その努力は別のところで使ってください」
「うぅ……じゃあ新曲作ったから褒めて」
「……………」
何故そっちを先に言わないんですか。
「えーと……よ、よく出来ました?」
マスターの頭を、いつも三男カイトにしているように撫でます。マスターは嬉しそうです。……これのどこが嬉しいのかよく分かりませんが。
「んー、気持ちいい」
「そうですか?」
「いやいや、いつもしてもらいたいと思ってたが……いいなぁ、これ」
「はぁ……」
よく分かりません。それほど大層なものでもないのですが。
そろそろいいかなと思い、撫でるのを止めると、怒られました。
何で怒られなければいけないのかと戸惑っていると、床に押し倒されました。
「い、痛いじゃないですか!何するんですか!」
強く打った頭を押さえていると、マスターは僕にのしかかってきて、
「足りん」
「は?」

……久しぶりに身の危険を感じました。ああびっくりしました。
まだ痛む頭をさすり、洗濯物を畳んでいると、長男カイトがやって来ました。
何だろう、と思っていると、長男カイトが、
「俺、新曲歌えるようになったんだけど」
そう言って、ニヤリ、と笑いました。
……えーと?
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