@KAITOだらけのボカロ一家

□KAITOだらけのボカロ一家・その12
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めーちゃんにそれぞれ一回叩かれて、オレとミクはレッスンをすることにしました。それにしてもめーちゃんのコブシは痛いです。兄ちゃんより下手したら強いのかもしれません。
「ねーさん、手加減してくれないんだもん」
ミクも殴られた頭を両手で押さえてます。オレも同じで、ジンジンする頭を押さえます。
「こう、マンガとかだったら頭にたんこぶが出来てるよな。特大の」
毛ちゃんさんがそんなことを言ってます。たんこぶが出来たら痛そうですー……
「あんまりアタシをからかうからよ。さ、レッスン始めましょ」
めーちゃんはしれっとした顔をしてます。カイトは苦笑して、オレに楽譜を渡してくれました。
「どうぞ」
「ありがとう!」
まだ頭は痛いけど、歌えないことはないですよ!歌を歌えと言われたら死んでも歌いますから!
……あ!死んだら歌えないんでしょうか!むう、心配です。
「まあ、俺のレッスンなんつっても、アキには敵わねぇだろうけど。そこは勘弁な」
「そんなことないです!毛ちゃんさんの歌はとっても素敵ですよ!」
「おぉ!?お前に言われると本気で嬉しいな!さんきゅ!」
おせじなんかじゃないですよ。毛ちゃんさんのミクやカイトやめーちゃんの歌はとっても素敵でした。だから教えてもらいたかったんです。
「んー、ところでカイトはどんな歌が好きなんだ?」
「えーと……なんでも好きです!」
「うぉ、来たぞ一番困る回答が」
「ええ?ええっとじゃあぱ……」
んつ、と言おうとして、めーちゃんからまた頭を叩かれました。い、いたいです……。オレ、なんか変なこと言いましたか?
「アンタなんてこと言おうとしてんのよ……」
「あう、だってマスターがぁ……」
よく歌わせてくれる歌だからぁ……
「……アキの奴なに歌わせてんだ。他にマトモな奴ないのか?」
まともなの……真面目な歌は歌いたくても回路がショートするんですよね……。歌詞の意味を理解しないと歌っちゃいけないって言われて、理解しようとするんですけどいっつもこんがらがっちゃって。
「オレ、ちょっと回路が変なんでマトモなのは歌えないんです」
「は?マジ?」
「ぷーちぷちぷーち♪なんていうのは大丈夫です」
「……なんという美声の無駄遣い。アキの考えることはたまに分からん」
プチプチの歌、オレ好きですよ。可愛いし、ぷちぷち言うの楽しいし。
でも毛ちゃんさんは頭を抱えてます。めーちゃんもおんなじです。ミクと一緒に首を傾げると、二人にため息をつかれました。
「あ!そういえばこないだ、アリア覚えました!」
はーい!と手をあげると、また変な顔をされました。あれぇ?
「……なんでそこでそんな高度な曲が出てくるんだ……。アキ、謎すぎる……」
「KAITOでアリア……まあ無理ではないだろうけど」
ミクと顔を見合わせて、また首を傾げます。
「オレ、変なこと言った?」
「んーん、言ってないと思う」
「いや、言ったと思うけど」
カイトにそう言われて、驚きました。ええ!変なことってどこらへんが!?
「そーなの?お兄ちゃん」
「うん……アリア、というかオペラは相当鍛えた喉じゃないと、歌うのは難しいんだ。それを歌えるってことは凄いことだと思うよ」
「へー!そーなんだー!」
「カイトさん、すごーい!」
「オレ、すごーい!」
いえーい!とミクと手を叩きあって喜ぶと、まためーちゃんに叩かれました。きょ、きょう4回目はキツイです……
「で、なに歌ったんだ?」
「夜の女王のアリアです!」
そう言うと、ミク以外の皆がこけました。え、オレ、また変なこと言いましたか?
「……なんでわざわざそれなんだよ」
「笑顔動画で見て、触発されたそうです」
「……あー、なるほどね」
そういえばKAITOの夜の女王あったなぁ、と言う毛ちゃんさん。
「え、じゃあマジでそれ歌えんの?」
「歌えますよ!」
「ミク、聴きたーい!」
はいはい!と手を上げるミク。歌ってもいいのかな?
毛ちゃんさんやめーちゃんを見ると、聴きたいと言ってくれました。
う、嬉しいです!家族以外に聴いてもらうのは初めてですよ、オレ!
「えーと、じゃあ1番カイト、歌いまーす!」
「のど自慢かよ」
毛ちゃんさんに突っ込まれたけど、嬉しくてそれどころじゃないです。それにアリアですよ!オレが唯一マトモに歌える真面目な歌ですよ!感激です!
オレがアリアを歌おうと口を開くと、いきなりレッスンルームの扉が音を立てて開かれました。
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