consultation room

□Sickness
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「「「賢木センセイ!!」」」

「うおッ!?びっくりしたァ!?」

普段通りに出勤し、『さーて今日も一日頑張りますかね〜』なんて思いながら研究室のドアを開けた賢木を迎えたのは、チルドレンたちの大声と体当たりだった。

「なんだ、薫ちゃんたちか…ビックリさせるなよ、どうしたんだ?」

いつもなら彼女たちがこんなふうに振る舞えば、皆本に即怒られるはずなのに。

そこまで考えて初めて皆本の姿がないことに気付く。

「…皆本はどうした?!薫ちゃん!!」

よくよく見れば彼女たちは特務服どころかどう見てもパジャマのままだ。
もしやまたぞろ兵部から何らかの攻撃でも受けたのか、と背筋を冷たいものが走った。

「センセイ、どうしよう…!!皆本が…ッ!」

強気な彼女には珍しく泣きじゃくっている。

「賢木センセ、皆本はんが目ェ覚まさへんねん…!!どないしよ…ッ…!?」

「…今日…いつまでたっても皆本さんが起きてこないから、私たち起こしに行ったの…そしたら皆本さん、すごい熱で…!!」

葵もぐすぐすと泣いているし、紫穂は泣きそうになるのを一生懸命堪えて状況を説明しながら、賢木に向けて手を差し出す。
紫穂の意図を理解し、その震える小さな手をそっと握った。
透視に精神を集中させる。


浮かぶ映像は皆本の寝室、ベッドで。
ぐったりと身体を投げだし、苦しげに呼吸する皆本の姿。
紫穂の言う通り熱が高いのだろう、顔が真っ赤だ。


「…状況は分かった。5分…いや、2分で準備する。葵ちゃん、テレポートで手伝ってくれるか?」

「!うん!」

「よし、いい返事だ。じゃあ病棟のナースにこのメモ渡して、薬と点滴を準備させて持ってきてくれ。」

さらさらと手近にあったメモに薬剤を書き付ける。

「分かった!ほな行ってくる!!」

ヒュンっと空を切るような音と共に葵の姿が消えた。今頃は病棟に着いているはずだ。

「先生、あたしと紫穂は!?どうしたらいい?!何ができる?!」

薫と紫穂が涙目で詰め寄る。

『待っているだけなんて、嫌だ!』

心を透視まなくても伝わる思いに微笑んで、賢木は財布を紫穂に放り投げた。
訝しげに財布をキャッチした紫穂だったが、どうやら賢木の意図は伝わった(透視んだ)らしく。

「――薫ちゃん、行こう!」

「へっ??!ど、どこに?」

「そこの通りのスーパー!」

「わ、わかった!?」

どうにも分かってなさそうな反応の薫を連れ、大慌てで研究室を出て行った。

「――かーわいいねぇ、まったく…愛されてるじゃねーの、皆本のやつ。」

何とも微笑ましげに呟いて、室内電話を取り内線をかける。

「あ、柏木さんですか?賢木です。…ええ、ちょっとお願いが……」









「ホラ、センセ!早よ診察して!」

「そーだよ!早くなんとかして!」

「急いでよ、賢木センセイ!」

「分かった分かった、だから押すな!あと騒ぐな!」

皆本宅に着いた途端、三人娘にぐいぐいと押され寝室へ向かう。
そっとドアを開けて様子を伺うが、皆本は相変わらず起きる様子もなくぐったりとしたままだ。呼吸も荒く、顔も赤い。

チルドレンたちを部屋の外で待たせ、賢木は診察のために部屋へと足を踏み入れた。



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