「ママー!」

「ただいまー!」


バタバタと二つの軽い足音が近付いて来てはバタン、とリビングのドアが開き千鶴と正親が抱き付いて来た。

二人からはお日様の良い香りがして、今日もいっぱい外で遊んできた事がよく分かる。


「おい、お前ら。ママんとこ行く前に、手洗いうがいだろ?」

「「はーい!」」

「ったく、あいつらはすーぐ鶴の字の所に行きやがるからなぁ…。」

「ふふ。…お帰りなさい、元親さん。」

「あぁ、ただいま。」


小さく笑い合ってはキスをする。
未だに照れてしまうのだが、彼とするキスは安心して、心がほっこりと暖かくなる。


「あー!ママとパパがちゅーしてる!」

「まさも!まさもちゅー!」


洗面所から戻って来た二人に見られてしまった事に顔を真っ赤にする私に、ニヤニヤと笑っている元親さん。
「ママとちゅー羨ましいだろー?」なんて子供相手に自慢している私の旦那さんに、大人気ないんだから…なんて思いつつ、同時に愛おしさが込上げて来る程度には、私も元親さんを溺愛しているのだろう。


「この子もきっと、羨ましがってるよ!」


千鶴が私の大きくなったお腹に抱き付いてそう告げる。
私のお腹にはすでに第三子となる子供が宿っていた。


「そうだなー。おーい、早くパパとママに顔見せろー?」

「見せろー!」

「ろー!」


三人して私のお腹を擦って声を掛けるその光景が微笑ましくて、幸せで、涙が出そうになる。
大人になってからというもの、涙腺が弱くなったような気がするのは気のせいだろうか。


「男の子かな?女の子かな?」

「俺は断然、男が良いな!」

「えー!ちづは女の子が良い!」

「ママは?」

「元気に産まれて来てくれれば、それで満足ですよ。」


きっと、この子が産まれたら千鶴と正親の時と同じ様に、元親さんは泣いてしまうんだろうな。なんて考えると、近い未来がとても待ち遠しい。


「今から楽しみですね。」

「名前はみんなで考えような。」

「「うん!」」


まだ見ぬ赤ちゃん。
外の世界はこんなにも暖かくて、幸せで、素敵な場所なんですよ。
早く、元気な姿を私達に見せてくださいね。



-END-


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