おもちゃ箱

□hair color
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「ねぇ、サニー」


「―んだよ」


「サニーの髪ってさぁ、どうなってんの?」




私は知り合ったときから疑問に思っていたことを率直にぶつけてみた



「は…?―れの髪?」


「うん。髪の色、地毛じゃないよね?」


「―たり前だろ!」


「だよねー。良かった、地毛って言われたらサニーのこと嫌いになってたかも…」



胡座をかくサニーの足の間に座った私は艶のある長い彼の髪をくるりくるりと指に絡ませて遊ぶ



「ンだよそれ!―んなことで嫌いになれる程度の気持ちだったのかよ!」


「えー、だって普通にキモいじゃん。そんなカラフルな髪が生えてきてたら」


「キモいって…おまっ、それ酷くね!?」



少し傷ついたようにむくれながらサニーは私の頭に顎を乗せる
仕返しのつもりか少し体重をかけてくるのが地味に重い



「ん、ごめん」



素直に謝れば離れていく重みに淋しいと思ってしまう私は既に末期



「じゃあさ、どうやって染めてるの?やっぱ美容院?」


「―れが他人に髪さわらすと思うか?」


「……思わない。じゃあ自分で?」


「あぁ」


「…そういえばサニーの髪ってさぁ。髪質ごとに色分けしてたよね?」


「そだな」


「ふーん。分かったぁ、家で一本一本たしかめながら染めてるんだ!」


「……ンだよ。―つくしくねー、とか思ってンのかよ」


「ううん、そんなことないよ。ただ…」



くるりと首を捻って見上げれば意外にも近い距離



サニーの髪を一房、掬いとってそこに唇をおとす








「可愛いよ、サニー」







hair color
(真っ赤になった彼は)
(地味な隠れ努力家さん)





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