少年陰陽師

□水飛沫
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「海だぁーーーーーー!!」


「あ、綾!そんな走ったら危な…」


「…っうわぁ!?」


「……予想通り、だな」



やれやれと肩を竦めているもっくんを後目に俺は走った


危ないからと声をかけようとした矢先に砂に足をとられ盛大に顔面からダイブした少女、綾の元へと




「もう…大丈夫?綾は今日はしゃぎすぎ」


「だって、海初めてだもん。昌浩と来るの」


「…っ!そ、それでも!お、俺は綾に怪我して欲しくない」


「おーい、昌浩やーい。思いっきり噛んでるぞー」


「うっさいよ、もっくん!」


「いってぇ!何も殴ることねぇだろ!?」


「もう!二人とも喧嘩しないで」



ね?、とコテンと首を傾げる綾に俺は顔が熱を待ったのが分かった



パラソルを立てて場所を確保したあと二人は海に向かった



淡いオレンジの水着は綾の白い肌によく映えていて思わず見とれた



「昌浩?何してるの、早く泳ご!」


「うん!」



波打ち際で水を掛け合っているとたかたかともっくんが飛び込んできてバシャンと大きな水飛沫があがった



「うわっ!もっくん何してんの!?」


「何って水浴びだ。毛皮があっちーんだよ」


「あー、確かにもっくんの毛皮暑そうだよね」


「じゃあ元の姿に戻ればいいのに…」


「それとこれとは話が違う!!」



もっくんが吠えた時く〜と何とも間抜けな音がした


音の方を振り向けば顔を赤く染めた綾が俯いていた



「あー、綾さん?」


「う〜。昌浩ぉ、お腹がね、減ったの。だから、ご飯食べにいかない?」


「あはは、いいよ。逆にごめんね、気づかなくて」



俺は綾の手を引いて海の家に行った



「何にする?」


「んーとね…焼きそば!」





俺たちは二人ならんで大盛りの焼きそばをお腹へとおさめた

もちろんこぼした風を装いながらもっくんにも少し分けてあげた



「お腹もいっぱいになったし、もう一回泳ぎにいこう!」


「うん!」


「おー、行ってこい行ってこい。俺は少し寝る」




きっとゆらゆらと白い尻尾を揺らしているだろうもっくんの言葉を背中でうけ俺は先に走っていってしまった綾を追いかけた




来たときと同じようにまた転けている綾の手をとってもう転ばないようにゆっくりと歩いていった




太陽に熱せられた砂地を歩く足の裏と同じぐらい綾と繋がる右手が熱い




「ずっと、この時間が続けばいいのにね」




海を背に笑う綾は太陽に負けないぐらい輝いていた






水飛沫
(キラキラと光る滴は)
(彼女を飾る自然の宝石)





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