連載 夢小説(戦国BASARA)


□今夜、月のなる頃に
6ページ/21ページ

今夜、月のなる頃に 005
発行日時:11/12 08:59:19

--------------


ひらりひらりとまるで舞ってるかのような仕草で大男を倒していく人
そして最後の一人をも倒したそのあと、くるりとこっちをみた
こっちにくる
さっきまでの刺すような視線ではなくて優しい瞳をしていた
そしてしゃがんで目線を合わせると優しく笑いかけてくれた

「お怪我はありませんか?」
なんか顔が熱い…
もし真っ赤になってるのみられたら恥かしい…
「大丈夫です」
目がみれなくて俯く
この人女の人…ですよね?
キレイなお顔してるし、それにかっこいいし素敵な人


なんて思ってると

「その方から離れろ」

義助の声

慌てて顔を上げるとその方に刀を向けてる自分の家臣の姿

「義助やめなさい」

「しかし姫様」

「その方は私を助けてくださったんですよ。失礼ではありませんか」

「しかし…」

まだなにか言いたそうな顔をする義助を目で訴える

仕方ないという風に刀をしまうものの警戒心はまだまだ緩めない
と、その方が立ち上がって自分に礼をした

「では…」

というとそのまま去っていこうとする

え、だめ…

「待ってください!」


足を止めてくるりと振り返る
「?なんでしょうか?」

「あの、お礼がしたいです。どうかうちまで来ていただけませんか?」
「姫様、いけません!」
「なにをいってるんですか?」
義助と呼ばれた男が耳打ちに話す
「こんな得体の知れない…もし間者だったらどうするつもりなんですか」
「この方は助けてくださったんですよ。お礼をするのは当然です」
「しかし…」
「私はそんな礼儀知らずに育てられた覚えはありません」
「………しかし」
「しかしではありません。口答えする暇があるのでしたら早く馬をつれてきてください」
「…かしこまりました」
義助が離れたところでほっとする
「家臣が大変失礼なことをして申し訳ありませんでした」
ふかぶかと頭を下げられて、こっちが困った
「気にしないでください。私も見ず知らずの身、あの人が警戒するのも無理はありませんから」
あの武士さんはこの少女のことを姫と呼んでいた
さっきから考えて思っていたこと、憶測だけど多分事実であろう
ここは今まで私が住んでいた所とはまったく違う場所だっていうこと
予想でも確信
そしてこの人が本物のお姫様だったら警戒するのもわかる
なんて考えてると姫様が顔を上げてくれた

「先ほどは本当にありがとうござました。本当にお強いんですね」
「いいえ、あれは無我夢中で…」
「もしよかったらお名前教えていただけますか?」
「名前ですか?姫といいます」
「姫さまですね」
「いいえ、私は様なんてつけられるような身分ではないですから」
「気にしないで下さい。私は愛と言います」
「愛姫様ですね。先ほどの方が姫様と呼んでいたので」
ん?愛姫?
なんかどこかで聞いたことあるようなないような…
歴史は詳しくないからな
こうなるならもうちょっと勉強しておけばよかったな、なんて思ってみたりする

「しかし変わったお召し物ですね」
愛姫様が姫の服をまじまじと観る
姫の今の格好は黒のシャツに黒のパンツ
そして裸足

たしかにこっちの世界では珍しいよね
「足もと傷だらけですよ」
「ああ、ずっと裸足で歩いていたから…」
「どうして裸足で?」
「色々と事情がありまして…」
この人に正直に話していいものかどうか
困ったように笑ってみせると
「お話長くなりそうですね、よかったら城で話をきかれてもらえませんか?」
とにっこり返された
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ