怪盗クイーン

□好きなのは
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「帰ってきたぜ!」

皇帝は勢いよくドアを開けた

「お礼に酒もらってな〜」

弟子のクイーンは無表情で彼の話を聞く

今日、2人はケガをしている女性を介抱した
黒髪の美しい女性を皇帝が「俺が連れてく」と山を降りて病院に行ったのだ

基本的に山は降りないのに

(女性のこととなると別なんだから!)

クイーンは呆れと嫉妬が混ざった気持ちだった
「クイーン」
「はい?」

気づいたときには唇が重なっていた

「寂しかったか?」
笑みを浮かべる皇帝とは裏腹にクイーンは
怒った表情になる

「お師匠さまの浮気者!
いけず!バカ−っ」

皇帝に背を向けて
クイーンは走っていってしまった

「どうしたんだあいつ…」
ふわりと白髪が舞う

◆ ◇ ◆ ◇


(怒りすぎたかな…)

一方のクイーンは自室の毛布にくるまっていた

自室にはカギをかけてある

師匠であり、恋人である皇帝との恋に悩みも多い

実力も上で大人の余裕もある

寄ってくる女性も少なくない

自分では釣り合わないと常に不安だったのだ
(だからって爆発したのはみっともなかった…)

「おい!」

ものすごい勢いで部屋に皇帝が侵入した

彼にかかってはカギもムダなのだとクイーンは勉強した


「もしかして妬いてたのか〜」

「ち、違います」

ぽすん

毛布の上にのしかかってくる皇帝

自分の気持ちを見透かされたのがクイーンには悔しかった

「女に優しくするのは紳士の義務としてだけだ
俺はお前だけが好きなんだよ」

クイーンは機嫌を直すしかなかった


好きなのは
(あなただけ)
(お前だけ)


「じゃ酒のつまみ買ってこいよ」

「いきなりですか」

「愛のムチさ」

(誰か愛のムチの意味を教えてやれやぁ!)
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