戦国BASARA
□風に舞う花びら
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はらり。
ひらり。
斎藤家の庭にある桜の花びらが落ちた
それを帰蝶はじっと見つめていた
帰蝶は斎藤家の娘である
「帰蝶、何を見ているのです」
「桜が散るのを見ていたのよ」
親族の明智光秀に彼女は微笑みかけた
光秀は帰蝶の隣に腰をおろす
「美しいものですね」
「そうかしら?私はむしろ悲しくなったわ
花が散ってしまったのだもの」
「花の命は短いからこそ最後は輝くのですよ。」
帰蝶にはいまいちその言葉がわからない
「戦で散っていく武将たちもみなそうなの?」
「えぇ。各々が全力で最期を刻みつけていくのですよ」
帰蝶は光秀にすがりついた
「それはとても素晴らしいことね
でも、光秀はそんなことしないで」
「帰蝶…」
突然すり寄ってきた帰蝶にとまどう光秀
「私の大切な人…
あなたはあの花びらにならないで」
二人の前をまた桜の花びらが風に舞った
ひらり。
はらり。
濃姫が父の意志によって織田に嫁ぐのはそれからしばらくの話