戦国BASARA
□この世の果て
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1582年−
天下統一を目前にした織田信長が家来・明智光秀に殺される事件が起こった。
世にいう「本能寺の変」である
「燃えている…」
明智光秀は燃えさかる本能寺を見て微笑む
狂気とも言える表情で
「信長公、貴方の好んだ「敦盛」に「夢幻の如くなり−」とありましたね…その通りになりましたな」
信長が愛した謡曲を思い出し、光秀はさらに笑う
「ま、五十年は生きられませんでしたが」
火が小さくなり光秀は本能寺の中を歩いていく
あたり一面の灰であった
「無惨ですな」
灰の上に織田の家臣たちの死体が累々と転がる
光秀は構わず死体を踏みつけ歩いていった
(渇きを癒してくれるものはありそうにない)
なおも歩けば見覚えのある三人の死体
「帰蝶の死体…」
三人のうちの1人の死体に目をやる
「最期まで信長公について行ったのですね。」
彼は帰蝶の頬に手をのばす
「なぜ信長公に殉じたのですか
帰蝶だけなら助けてもよかったのに」
信長を庇うように死んでいる帰蝶にぽつりと言った
「愛していましたよ…狂いそうな位にね」
そして帰蝶の鮮血を自らの唇に塗った
「帰蝶の血だ」
光秀は浮きたっていた
帰蝶を殺してしまったがようやく彼女は自分のものになると−
魂の渇きを癒すのはこの死体だけ
隣の信長や蘭丸など愚にもつかない
「ではあなたを頂きましょうか…」
帰蝶の喉に光秀は刃を立てた
(この虚しい感情を癒して-)