戦国BASARA
□君想う
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変わらない春がやってきた
雪が溶けて桜が咲き始める−
変わったのは俺の方だ
隣にお前がいない春は初めて
「…小十郎」
「殿、どちらへお出かけに?」
「俺が行くのはあそこだけだ」
その一言で家臣はすぐわかるほどになった
「片倉さまのところへですか…」
「ああ」
花と線香を手に俺は歩き出す
* * * * * * *
「いい場所でよかったなあ小十郎」
片倉小十郎と刻まれた墓
まだあいつが死んだのが信じられねえ
「お前が寝込んでる間に豊臣家が滅んで
平和な世になっちまったぜ
独眼竜も今じゃすっかり落ち着いたもんだ
お前がいないとつまらないんだ
HA!勝手に逝きやがって…」
「お共できなくて申し訳ありません…」
大坂の陣に向かう前悔しそうに詫びていた小十郎を思い出す
ずっと側にいてくれると思ったのに
ただいてくれるだけでもよかったのに
「明日また来てやるからな」
ただめぐってくるだけの春
甘美で少し寂しい春に
君想う