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□私と月
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眠れない夜はどうしてこんなに寂しいんだろう。

わたししかいないこの空間は恐ろしいほど静寂で。
目に映るのは、闇、闇、闇。
こわい。
その時、窓から射す月明かりが案外明るいことを知った。
救われた気がした。
窓を開けると、ひんやりとした風が私の頬をかする。
どの家も既に消灯している時間だ。
この中で、わたしの様に眠れない夜を過ごしている人はどれだけいるのだろうか。

太陽のような逞しさはないとしても、夜空を確かな明るさで照らしている、月明かりの慎ましさが好きだと思った。
月光に包まれながら目を細める。
私は今、この世には私と月しかいないという錯覚に陥っていた。


人知れず輝き続ける、月。
しかし、見上げれば確かに存在する、月。そんな月は寂しくないだろうか。
眠れない夜。
私は月の為にそっと祈った。





私と月


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'10 03.28

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