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□train
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かなたくんと付き合いはじめてもうすぐで一年経つ。
同じ学校で一個先輩の、立木かなたくん。
今日は先生たちの会議があるため、いつもより早く帰れた。
2人で隣に腰掛け、電車に揺られていた。
あ、かなたくんのにおい。
今日はぽかぽかしていて、目を閉じたら眠ってしまいそうだった。
もう春だ。
わたしは、彼と出会った頃に思いを巡らせた。
出会いは去年の春、電車通学をしている時だった。
あの日は雨が降っていたせいで、車内は超満員。
ただでさえ電車に乗ることに慣れていなかったわたしは、降車駅に着いても抜け出せなかった。(開くドアの反対側にいたから)
そんな時に腕を引っ張って助けてくれたのが、かなたくん。
お陰でわたしは、今まで無遅刻無欠席を保っている。
もちろん、卒業式では皆勤賞を貰うつもり。
あれ?あるのかな、皆勤賞……。
「あおい、今なに考えてる?」
かなたくんは何故かこの言葉を頻繁に発する。
その度にわたしは返答に困ってしまう。
自分が何を考えていたのか考えるのって難しい。
「んーとね、はじめてかなたくんと会った時のこと、とか皆勤賞のこととか」
わたしがそういうと、かなたくんは「あー」と言って微笑んだ。
「あれから一年経つんだね」
優しい口調で、かなたくんは言った。
可愛い顔に不釣り合いな、低い声をしている。
視線を外の景色に向けているかなたくんを見つめた。
薄茶色の瞳に吸い込まれそうになる。
かなたくんは眩しそうに、目を細めた。
そして、ゆっくりと視線をわたしに向け、微笑んだ。
薄い唇の間から、白い歯が少し見える。
「あおいと出会えてよかった」
そんなストレートな言葉を、平然と言ってしまうのがかなたくん。
最初のうちはその度に戸惑ってたけど、今はそんなことない。
だって、こんなにうれしいもん。
「わたしも、かなたくんと出会えよかったよ」
train
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'10 04.24