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□打ち上げ花火
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バイトに明け暮れる、高2の夏休みのある日、ひょいとあいつからメールが届いた。
内容は、花火大会へのお誘いだった。



打ち上げ花火





あいつとは小中学校で同級生だった、高橋尚哉。
わたしの初恋の人だ。
中学を卒業してから一年以上経つ今も、まだ心の隅で想っている。
連絡は取っているし、何度か会う約束もしたがお互いの都合が合わずに全て消滅してしまった。


尚哉は、すっごく頭がいい。
高校は、県で一番偏差値が高いとこに行ってしまった。
わたしはすごく平凡な県立高校。



今回こそは、実行出来そう。
お祭りの日はまだ先なので、バイトの休みさえ取れれば大丈夫。


それから少しメールでやり取りをした。
たわいもない雑談ばかりだったが、わたしにとっては楽しかった。
高校に入ってからはずっと、勉強とバイトばかりで、ときめくこともなかったしね。

浴衣と洋服どっちがいいかと聞いたら、浴衣という答えに、歩きづらそうだし無理しないでいいよ、と一言添えられてきた。
きっと、以前の尚哉だったら、照れて答えてくれなかったと思う。
大人になったんだ、と嬉しくなるのと同時に、少しだけ切なくなった。
中学生の頃の、身長が追い抜かれた時と同じ気持ちだ。


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