短編

□俺の天邪鬼
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「近づくなっ!!触るな」

「由美菜は柔らかい。ふかふかしてる。」

「してない。私の視界に入るな」

「してるし。離れない」

一ヶ月前から同じやり取りは続いてる。

何でこんなことになったのか判らない。

気がついたらこんなことになってしまっていた。

「由美菜」

「吉村もう離して…先生来てるんだから。」

恥ずかしくてやってられない。

学校に来れば正門で待ってて。

教室に来ても同じクラス。

帰りもなんだかんだいって一緒に帰ってくれる。

いや、帰ってくれるんじゃなくて。

無理やりだ。

「二人は青春を謳歌してるなぁ」

白髪交じりの秋元先生はそんな私達を見て楽しそうに毎回ガハハッと大きな声を上げて笑う。

「そうっしょ、先生。」

「ああ、だが吉村、沢村にはもうちっと優しくしてやれよ。」

「俺優しいじゃん。」

「ちゃんとした恋人になりたいんだろう?」

なにこの先生吉村の事応援してる?!

「由美菜は、俺のこと嫌いなの?」

「嫌い…大嫌い」

「終わったら早く席に着けよ。」

秋元先生は楽しそうだ。

吉村はしょんぼりした背中で私の席の近くからいなくなってくれる。

なんてことはないんだよ。

だって、席が隣なんだもん。

なんて運命のめぐり合わせ何でしょう。


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