短編集
□相似比
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『綱吉ぃー』
「んー」
『愛してるよぉ』
「うん、俺も」
『私の愛してると綱吉の愛してるを比で表すと、10:9になるんじゃないかな』
「なんで俺のほうが9なんだよ」
『私の愛に少しだけつりあってないんだよ、多分』
「んな訳あるか。
俺のほうがお前より・・・」
言葉につまる綱吉。
ソファに両隣に腰掛けていた綱吉と私。
綱吉が、少し考えてこちらを向く。
「お前、まさか・・・」
『うん、そのまさか』
「知ったのか・・・」
『うん、ごめんね。
盗み聞きするつもりはなかったんだけど、たまたま綱吉の部屋行ったら聞こえてきて・・・』
「・・・終わり、なのか?」
『・・・ねぇ、知ってる?
相似な三角形の相似比って3:2なんだよ。
それと一緒なんだよ、きっと。
似ているけど、大きさが違う。
私達の愛が、つりあうことなんてないんだよ』
「なんだよ、それ。
俺に、難しい話するんじゃねぇよ・・・」
『うん、ごめん。』
「修復は、できないのか?」
『ごめんね、私、そこまで心が広くないみたいだから』
「そっか・・・
最後まで、愛せなくてごめん」
『そんなこと、言わないでよ。
後悔、しちゃうんだから・・・』
「後悔するのは俺だよ。
愛してたよ」
『私も、綱吉のこと、愛してたからね。』
相似比
(さようなら、愛してた人。)