novel

□それはリサイクルですか?
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ふぅ、と息をつく
昨日は忙しない一日だった


いつも通り輝宗様に政宗様の一日のご様子をお伝えすれば「おめでとう」と言われ、政宗様には「心配するな」と肩を叩かれ、意味が分からないと申し上げれば「小十郎、もうお前自身の幸せを掴んで良いんだぜ」と肩を組まれる、おまけに親指を立てて笑顔だ
そこで察しが付いたのだ、ああ松永のことか…と
…松永のこと?
慌てて誤解です、と申し上げても「照れんじゃねえよ」、とか「私もこれで安心だよー」とかおっしゃっていた
結局お二方とも俺の言ったことなんぞ聞いていなかった様で朝も同じようなことを言われた


そして今は2限目の授業が終わり、前の時間に教えていたクラスの出席簿と教科書、集めた課題を抱えて職員室の前を通っている
すると、いきなり部屋側の右腕を掴まれ、強い力で引っ張られる
油断をしていたというか、思いっきり回想にふけていたためか身体は簡単に傾いた
しかし前日の反省を生かし、瞬時にバランスを整えようと2、3歩力に従い歩くがその方向は明らかに室内、しかも自分の勘が正しければここは昨日政宗様に松永との関係を誤解される発端となった教頭室
さらに自分に伸ばされたのは案の定松永の腕、松永自身はいつも通りの全てを見透かした笑い…やっぱり自分はこいつが嫌いだ


腕をふりほどき、「ふざけんじゃねぇ」と睨みを利かせ言うが、松永はいつも通りの笑いで俺を見る
何か一言言ってやろうと思ったが、周りに散乱している生徒のノート(腕を引かれたときに派手に落としてしまったのだろう)が目に入りドアへ向かう足を止め、ノート達を素早く集める

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