novel

□甘さと酸っぱさと中和します
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有名な百貨店の袋を片手に階段を下りる
せっかくの休日なのだから、と買い物をしてきた成果だ

日は西に傾いているはずなのに時折構内に流れてくる風が生ぬるくて、じとりと汗が背中を伝った


いつもより人通りが多い、そう感じたのは小十郎だけではなかったようだ

「はて、今日は何かあったかね」
迷惑そうに目を細める松永が疑問をぶつける

「あー…祭りだってよ、道路封鎖しちまって随分と大規模だな」
ちらり、視界に入った貼り紙を見るとどうやらふたりの住居辺りまで出店が続いているらしい
通りで今朝から何か騒がしいはずだ


「それでは右目、行こうか」


せっかくの祭りだ、仲良く行こうではないかと差し出された手を小十郎が即座に叩き落としたのは言うまでもない




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