novel
□月が見ていないので
1ページ/1ページ
「なあ、小十郎何してんだお前?」
月の光が雲に遮られ薄暗い中、縁側から庭へと乗りだす政宗、視線の先には寝間着のまま素振りをしている小十郎がいた
垂れた汗が少ない光に反射して動く度に薄い寝間着を濡らす
「!!…起こしてしまいましたか、申し訳ございません」
声が届くとその場に座り、冷たい土へと手をつく
「stop小十郎、ただ眠れないだけだ、お前のせいで起きたんじゃない」
ほっとした小十郎は手を突き出され、ちょっとこっち来い、と手招きされる
一言失礼します、と断ると強く腕を引かれ隣に座らされた
「お前何で素振りなんかしてたんだ?」
雲に覆われた月を見つめ問うた政宗
合戦中なら納得だが、今はそんな予定はなく執務に終われる日々。
それに小十郎は日中も稽古に勤しみ十分すぎるほど働いていたはずであり、これ以上働かれて体力は保つのだろうかと政宗は密かに心配をしたのだ。
「…政宗様と同じでございます」
「…寝付けねぇのか?」
「はい、動いた方が寝れると、思いまして」
どこか夜の逢瀬は恥ずかしいのか、伏し目がちに答える小十郎
先の素振りのせいか少し息が乱れ前髪もたれている
一方政宗は普段見せない小十郎の仕草を見ようと伏せた顔を覗き込む
「…なあ小十郎、南蛮では寝るときkissをするらしいぜ」
「…きす?それをすると寝れるのですか?」
突然の南蛮語に小十郎は頭に疑問符を浮かべていると、顎を政宗の手に取られていた
「ああ、やってみたら意外と寝れたりな」
やるか?と聞いた政宗の視線に危機感を覚えた小十郎が反抗を試みるが、結果は目に見えている
月が見ていないので
(政宗様!!ご自重なされよ!!)
(うるせえ、きこえねえ)
------------
こじゅうろうは きす をおぼえた!!