novel
□AM06:52
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数日前に比べ暖かくなった日の光は窓にしか遮られず、睡眠を貪っていた松永の体が目から徐々に覚醒していくように見受けられた
日の光を避けるように寝返りを打つと隣にあったはずの温かさが無い
もうそんな時間か、と考える
年のせいか、すでに目は冴えているらしく早々と一人には大きすぎるベットを降りようとする
だが足がスリッパに着くよりも早く、ドアが開く音がした
部屋より少し冷たい空気と一緒に入ってきた人間を見て、松永は薄く笑った
「何の用かね、」
わかりきった答えを聞くのも、この男にはまた一興と言うことだろうか
小十郎の眉間には皺がひとつ、刻まれた
「…てめぇが朝飯を俺と食いてぇ、とか言うからわざわざこうして来てやってんだろ」
深いため息が空気と混じる
エプロンを付けているものの小十郎の姿は畑仕事から帰ってきたまま
それを松永は着替えるより早く自分とその食事を優先しているという何気ない行動に対して、表現は相応しく無いだろうが可愛いと感じるのである
「そうだったかな、いやはや年をとるとは嫌なものだね」
わざとおどける
癖なのだろうか