novel

□形あるものいつかは滅びる
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鬼は外、福は内



寒空の中、子供たちの元気に豆を投げる声は聞こえない








「右目、今日は節分の日らしいではないか」


超が付くほどの高級マンションの最上階
広々としたリビングで男が問う


相手はダイニングキッチンで何やら屈んでいて顔は見えない


すると男がつまらないのかスッと立ち上がり、歩み寄る


「何をしているのかね、私の話を聞いてなかったならそれ相応の理由を…」


続きの言葉は男の喉で止まった



相手が凄い形相で睨みつけてきたからだ



「あァ?んだよ、てめぇが急に鍋食いてぇとか言い出したから用意してんだ、黙れ」


今にも噛みつかんとする様子はまさに狂犬、男はやれやれ、と言うのと同時に笑みを浮かべる


「ほぅ、ついでに恵方巻きとやらも作ってもらおうか」



注文を追加されたのが余程嫌なのか、一層皺が濃くなった

狂犬はこれも主のためと言い聞かせて深く息を吐いた


今の季節に外では白く見えるであろうそれは湯気と共に消えた









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