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松永と右目の一日(仮)02
「やはり旨いな、卿が料理すると尚更だ」
「そうか」
「…」
「…」
はあ、と小十郎のため息。
反応したように松永の食指がぴたりと止まる。
「右目、何を怒っている」
「何も」
朝食を抜く、と宣言しておきながら作る辺りこの男の性格が垣間見える。
しかし荒々しく使い済みの食器を重ねられ、その音は陶器ならば割れたのではないかと思うほど。
そして、それは明らかに怒気を含んでいて、松永は矛先が自分に向けられていると理解した。
「何を怒っている」
「怒ってる人間に怒ってる内容を質問するやつがいるか」
私が居るじゃないか、と喉まで出掛かった言葉は小十郎の背を向けている朝日よりも鋭い眼力のおかげで無事飲み込まれた。
言葉を出さずに視線を落とすと小十郎が台所に戻ってしまったことにより、一人きりになってしまったダイニングが映る。
殺風景なそこから連想されるのは物足りない、というもの。
齢を重ね自分も随分人間味が増したのだろうか。
それとも別に原因が…そこまで思考を進めると何て瑣末な問題だろうと一笑を付した。
「…またくだらねぇことでも考えてんのか」
呆れ気味の声が降ってきて顔を上げれば見下す小十郎。
利き手である左手に鍋掴みをはめ、椀を持っている。
そしてドカッという音と共に目の前に置かれた。
少し飛び散りはしたものの、椀は無事である。
中身を見れば粥の様なもの。