短文

□苦い果実
1ページ/2ページ

「セーンパーイ」


センパイの部屋にノックもせず入り込む。


「んだよ、カエル」


予想通り不機嫌な声。


「暇だったんでー、遊びに来ちゃいましたー」


「勝手に来んな!ってか帰れ」


ちぇー・・
なんだよこの堕王子。


そんな言い方しなくてもー


ミーは半分嫌がらせでセンパイの隣に座る。


「帰れって言ってんだろ?」


酷い言葉は何時ものこと。
だけど、やっぱり慣れるものではなくて



「・・嫌ですー」


半分泣きそうな顔で言うが、全くの無視。


・・まじで泣くぞ、この堕王子ー
ミーはこう見えても傷つきやすいんだからー


「何で嫌なんだよ!すぐそこだろ?」


ミーとセンパイの部屋は隣同士。


ミーは凄く嬉しいのだが、センパイは違うらしく迷惑だと言われる。


そんな言葉も照れ隠しだ、と言い聞かせてきた。


「・・・そーですけどー」


「ったく、まじで帰れ!王子もう寝るから、ほら」


そう言って無理矢理部屋から追い出されてしまった。


閉じられた扉が凄く遠く感じた。


本当にミーは嫌われてるんだ・・


そう思うとさっきまで我慢してた涙が一粒頬を伝い落ちる。


「センパイの馬鹿ぁー」


そう部屋に向かって怒鳴りつけ、部屋へ戻る。




きっとセンパイがミーを想ってくれる日なんて来ないんだろう。


それでもミーは愛し続ける・・




(とんだ苦い果実を選んでしまった)
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ