短文
□初めての恋
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物心ついたときから俺は戦いが好きだった。
朝から晩まで餓鬼の遊びはせず、技の練習に明け暮れた。
その為友達なんてものは居ない。
だけど寂しいとは思わなかった。
自分は王子。
だから、他の餓鬼とは違うんだ。
いつも人を見下して生きていた。
俺は王子だから。
8歳の時、兄ジルを殺してからは殺しが好きになった。
ヴァリアーに入り、毎日毎日人を殺める獣と化していた。
そんな俺を皆嫌いになるどころか、自分を求めてくれる。
天才だと褒め称えてくれる。
ヴァリアーが初めての仲間だった。
だが、情は入れなかった。
だって俺もこいつ等も何時死ぬか分からない。
死んだ時哀しいのは嫌だ。
だから、いつも上辺だけの付き合いだった。
俺は人を愛した事も愛される事もない、
孤独な王子。
それは死ぬまで同じだと考えていた。
あいつに逢うまでは。