短文
□すいーとらぶ
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両想いになりたい‥なんて女々しい考えはないんです
ただ先輩があまりにも優しいから。
あまりにも可愛いから。
制御が利かなくなってしまうんです
こんなミーは可笑しいんですか?
夜。
それも夜中の2時くらいにミーは任務から帰ってきた。
ヴァリアー本部はしんと静まり返り、木々のざわめきしか聞こえない。
自室に向かっていると、灯りの付いた部屋が目に入る。
(あれ?ここは‥ベル先輩の部屋?)
ドアを開けると、ぱっとベル先輩が振り返った
「‥フランかよ」
「先輩まだ起きてたんですねー」
ベル先輩の隣に立つと、少し横にずれて
座れよ、とソファーに促された。
「いいです、シャワー浴びてないんで」
「ふーん、じゃあ一緒に入る?」
「え‥?」
センパイは普段、人と一緒に入らない。
ヴァリアー幹部は大体みんな大浴場を使うのだが、ベルセンパイに関しては時間をずらして入るのだ。
「俺も今帰ってきて、入ってなかったし」
「だって・・センパイ人と入らない主義ですよね?」
「ん?王子とじゃ不満なわけ?」
「違いますけどー・・珍しいなぁと思っただけですー」
センパイはにっと笑って、王子の気まぐれ♪とか意味分からないことを言った。
それから、先輩はバスタオルやら洗面道具を用意する。
「あのー、ミー着替えとか無いんで、取りに行っていいですかー?」
先輩はくるっと振り返り、自分の着替えをミーに渡す。
「部屋行くの面倒だし、今日だけ貸してやるよ」
先輩がお気に入りの紫と白のボーダーシャツからは、先輩の匂いがした。
ほら、そうやってまたミーに優しくするんです。
いつもは冷たいのに、偶に優しくなったりする。
その度ミーはドキドキして‥
先輩はずるい、
だけどそんな先輩だから好きなんですよ
何て言ったら間違い無くドン引きされると思いますけどー
「珍しいこともあるんですねー、明日嵐じゃないですかー?」
なんて、可愛げない言葉を並べわざと怒らせる。
だって怒った顔さえ可愛いと感じてしまうんだから。
ミーも末期なんですかねー。
「てんめー、人が親切にしてんのに!王子嘗めてんの?」
「すいません、つい本音が‥あっ!」
ばっと抱えていた服を取り返される。
「もう貸してやんねー!」
「冗談ですー、貸して下さいよー」
「・・ったく、仕方ねーな。ほら」
先輩は呆れ顔でミーに返してくれる。
「先輩、ありがとうごさいますー」
「有り難く思えよ、王子やっさしー」
先輩は歯を見せながら笑った。
嗚呼、本当可愛すぎですー
風呂場で襲っちゃいますよ?
あっ、それいいですねー!
どーせみんな寝てますし・・
「おい!フラン、何ボーっとしてんだよ!
ねみぃーの? 」
いきなり顔を覗き込まれて、息を呑む。
「っ!!・・いや、何でもないですー。
ちょっと妄そ‥考え事を 」
「ふーん、まぁいいけど」
先輩はまた歩き出す
本当無防備ですねー
まぁ此方からは有り難いんですけど。
やっぱ今日はやめときますか。
先輩に嫌われるのは辛いですし。
だから先輩がミーのモノになるまで、少し我慢。
「せんぱーい、待って下さーい」
遠くに行ってしまった先輩の元へ走ってく。
「おせーっつの!王子待たせるとか生意気」」
ベル先輩は振り返って怒鳴る。
「相変らず意味わかりませーん」
「ばーか!ほら行くぞ・・おわっ」
「セーンパイ、置いてっちゃいますよ」
ミー達は浴場目指して走り出す。
(絶対に手にしてみせますから、
覚悟しててくださいね?)