BL・Story

□虜
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「忘れ物ー忘れ物ー…」

ガラガラガラ……

「ん?……何だ。銀八か…」
「何だとは何だ。」
「いや、近藤さんが戻ってきたのかと…」
「ゴリラ?何で?」
「いや…俺、風紀委員だろ?それで、明日活動内容を提出しなきゃならねぇんだけどよ…」
「ほぉ…」
「察しの通り、近藤さんはあの女を追い掛けて帰ったし、総悟はサボりだろ。」
「なるほどな…お前も大変だな。」
「まぁな。」
「ストレスたまってんじゃねぇの?」
「……はぁ?」
「晴らしたほうがいいぞー」
「……どうやって?」

銀八は俺にキスをした

そして、ニヤリと不気味に笑うと

「…こうやって。」

と、言った。

「…はぁ?」

…男同士で?
俺の思考回路は止まった。
こんなことやるなんて考えられねぇ…
ましてや、男同士なんざ…

はっきり言って…問題外だ。


「はぁ?って何だよ?やらせろよ」
「いや…何?まさか…男同士で?」
「は?何言ってんの?…あらら〜…。もしかして、土方くん初めてですか?」
「バッ!そっそんなんじゃ…」
「そうなのかぁ〜…」
「くっ…………」

プライド的にしたことがないとはいいたくなかった。

「まぁ、先生が生徒にじっくり教えてやるさ…」
「んなこと、教えなくて……んっ」
銀八は、再び俺にキスをした。

今度のキスは唇をあわせるだけのキスではない。

甘く、とろけそうな…
ディープキス……。

何だこの感じは…?

あれだけ拒んでいたのに、何で俺は銀八の舌を受け入れる…?

何でこんなに…夢中になる…?

何でこんなに…気持ちいいんだ…?

銀八が唇を離した。

何でこんなに、恋しいんだ…?

何で…何でこんなに…虜になった…?

「……土方くーん…?」
「…っ!なっ何だよ!?」
「あんなに嫌がってたのに…気持ち良さそうじゃん…?」
「バッ…バカか!?そんなんじゃねぇ!」
「そうかぁ?もっとしてほしいんじゃねぇの?」
「………ちっ違う…」
「あぁ、そう。じゃ、授業終了。じゃあな土方くん。」

あれだけ拒んでいたんだ…これでいいはず…

なのに…
何でこんなに…

「まっ…待て!銀八っ!」
いつのまにか銀八を引き止めていた。

「んー?どうしたー?」

口ではああ言ってるが、顔はニヤニヤとこちらを見ている。

「いや…その…さっきの…続きを…」
「……したいのか?」

俺は黙ってうなずいた。

「ふっ…今のは、ちっと来たな…優しくできねぇかもなぁ…覚悟しとけ」
「……上等だ」

銀八の授業が再スタートした…
俺はこれから、もっともっとこの男の虜になる…。





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