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□好敵手
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まただ――。

テストが終わり、いつもの様にその結果に不安の残る空はトビのクラスで答え合わせをしていた。

「A!!」
「Cじゃ」
「ぐぅ〜..」
「お前、ほんとに勉強できんの..」

そう空にいいながらも、とびの視線は携帯に釘づけで一向に空には向かない。
その態度になぜかイラついて、空は不機嫌そうに廊下に目を向けた。

「なんじゃ、現実逃避か?」

とびが語りかける。
自分の事を見てくれた!と、空が顔を上げるとトビの視線はすでに携帯にあった。
なんなんだよ。。。
空の苛立ちは募る一方だった。諦め半分で空が尋ねる。
「そんなに大事な用事なの..?」
「そうじゃ」

とびは相変わらずこちらを見ようともせずに答えた。
その態度に、空はなんでか悲しくなり小さな声で礼を言って、席を立った。


またじゃ―――。

トビが携帯をズボンのポケットにしまい、ふと廊下に目をやるとさっきまで目の前にいた空の背中。
その向かいには、2年の先輩。まどかがいた。
「空くん、テストどうだった?」
「は、はい、結果は微妙です..」
「そっか〜」

空は少しだけ緊張した面持ちで嬉しそうに会話をしている。自分の前では見せない顔。
トビはそんな空を面白くなさそうに眺めていた。
そんな感情を込めた視線に気づいたのか、ふいにまどかと目が合った。
慌てて目を逸らそうと思ったが、そこはトビ。
―なんでわしが逸らさなきゃならんのじゃ―
そう思い、じっと見つめ続けた。

まどかは、その視線に自分に向けられたトビの感情を読み取った。
「空くん、私そろそろ行くね!」
「あ、はい!」

そう言うと、まどかは手を振り教室の方向に向き直る。
その姿を目で追っていた空に、まどかが振り向いて

「夏目君に、゛私がライバル?゛って聞いてみて?」

それだけを告げると楽しそうに笑って走って行った。
空の頭にはハテナマークが浮かんだか、伝言は伝えなくてはいけない。
再び、トビのいる教室へと顔を向けると、トビがこちらを見ていた。
さっきまで座っていた椅子に座り直すと同時にトビの携帯が鳴った。

またか―――。

トビは携帯を無視して、空に視線を合わせた。

「楽しそうじゃったな。」
「携帯、いいの?」
「今はええ。」
「そう、まどかさんから伝言。゛私がライバル?゛だって。」
「はあ、なんじゃそら?」

とびは溜め息まじりに答え、携帯を取り出した。
そこには、溺愛してやまない妹からのメール。そこには、
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