□逃亡劇について
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「そう言えばさ」



はた、と思い出したように一哉が声を上げる。



「最初、綿花先輩どこ行ってたんだ?」

「あー…」



問われた綿花は少し遠い目をして、監督を指差す。



「あいつを追いかけてましたー」

「…あいつって…」



その呼び方に苦笑し、私は「監督だよ」と一哉に答える。



「なんで、追いかけてたの?」

「…うーん、そうだな。説明不足による糾弾からの逃亡が理由かな?」



自分が悪いってわかってても、逃げる癖がついちゃってるの。

そう言えば、頷きながら監督を見る一哉。



「でも」

「ん?」

「なんか理由がそれだけじゃないような気がするんだけど…」



…聡い子だ。



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