黒と白の姫君
□第2話 約束の石
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あれから、数日。
「今のリィンバウム」についてイスラから教わっている。
まず一つ。
ここは聖王国の王都ゼラムにある「蒼の派閥」の本部らしい。
私の知る「島」は帝国領だったとか。
二つ目。
私の扱いは「派閥の客人」ということらしい。
そもそも、リィンバウムでいえば「名も無き世界」の「命を持つ存在」を呼び出すことはできないらしく。
それが知れれば、私をどうこうする人間が出てくるかもしれない、との考えと、「総帥」からの意向で私は「客人」として扱われている。
3つ目。
これが一番驚いたのだけど…。
「20年後…?」
「そう。あの島での出来事から20年程時間が経っているんだよ」
こつこつ、と机を指で叩きながらイスラは言う。
自分は、あの戦いの後、死んで生まれ変わった。
それでも、私のことを含めた「記憶」を取り戻したのは、彼が物心ついたあたりのころ。
「それで、少し精神がおかしいとか言われてね。病院に入れられて、受ける必要もない治療を受けてたんだ」
思い出しているのか、苦い表情をするイスラ。
彼からは見えない机の下で、私はスカートを握りしめる。
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