珊瑚色の絵本
□第5話 謎の少女
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風に運ばれる花の香りが満ちるこの屋敷。
私は目の前でモンジャラを撫でる彼女を見た。
「…それで、用件は何でしょうか?エリカさん」
「ふふ、そうでしたね」
彼女―タマムシシティのジムリーダーにして名家のお嬢様のエリカさんはニコリと笑うとホッチキスで留められた書類を差し出してきた。
私はそれを手に取り、捲る。
「改造、ポケモン?」
そう書類に書いてあったのは「改造ポケモン」と言う文字。
中には改造されたポケモン達の写真や詳細が事細かく。
けれど、どうしてエリカさんが…。
「それは先日私達が入手したある組織の書類です」
「その、ある組織って…」
エリカさんは1度頷き、口を開いた。
「ロケット団です」
やっぱり…。
書類を持つ手に力を込め、私は目を閉じる。
思い出されるのはシオンタウンでのあの出来事。
ふるふる、と首を振り、私は顔を上げる。
するとエリカさんが少し申し訳なさそうな顔で私を見ていたことに気付く。
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