黒と白の姫君
□第4話 彼への任務
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イスラが神妙な顔をしながら部屋に戻ってきたのは、その日の午後。
総帥であるエクスに呼ばれ、戻ってきたときにはその手にクリップで挟まれた書類があった。
「旧王国、ね」
「旧王国がどうかしたの?」
私の言葉に顔をあげたイスラ。
一度書類に目を向けて、次いで私に目を向ける。
「ねえフユカ、聞いていいかな」
「うん?答えられることならいいけど」
すると彼は一拍置いて、口を開いた。
「君、リィンバウムに来る時誰かと一緒にいなかった?」
「え…?…あぁ、うん。幼馴染がいたけど…」
その時のことを思い出し、私は頷く。
近くに勇人、少し離れたところに夏美達がいたのは確かだ。
「それが、どうかしたの?」
「……僕が今総帥からもらってきたのは、極秘任務なんだ」
いくつか書類をめくり、とある記述を指差す。
そこには。
「…旧王国・サイジェント付近での召喚儀式?」
「そう。霊界サプレスに住む“何か”を召喚しようと目論んだ儀式。…ついでにこれを行ったのは…」
無色の派閥だよ。
その言葉に私は勢いよくイスラに顔を向ける。
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