黒と白の姫君

□第4話 彼への任務
1ページ/4ページ

イスラが神妙な顔をしながら部屋に戻ってきたのは、その日の午後。

総帥であるエクスに呼ばれ、戻ってきたときにはその手にクリップで挟まれた書類があった。



「旧王国、ね」

「旧王国がどうかしたの?」



私の言葉に顔をあげたイスラ。

一度書類に目を向けて、次いで私に目を向ける。



「ねえフユカ、聞いていいかな」

「うん?答えられることならいいけど」



すると彼は一拍置いて、口を開いた。



「君、リィンバウムに来る時誰かと一緒にいなかった?」

「え…?…あぁ、うん。幼馴染がいたけど…」



その時のことを思い出し、私は頷く。

近くに勇人、少し離れたところに夏美達がいたのは確かだ。



「それが、どうかしたの?」

「……僕が今総帥からもらってきたのは、極秘任務なんだ」



いくつか書類をめくり、とある記述を指差す。

そこには。



「…旧王国・サイジェント付近での召喚儀式?」

「そう。霊界サプレスに住む“何か”を召喚しようと目論んだ儀式。…ついでにこれを行ったのは…」



無色の派閥だよ。

その言葉に私は勢いよくイスラに顔を向ける。



_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ