珊瑚色の絵本

□第5話 謎の少女
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「それじゃ、今から行ってきますね」

「今から、ですか?」



はい、と頷くとエリカさんは「そうですか…」と呟いた。

心配してくれているんですか?

そう問えば、彼女は小さく頷いた。



「大丈夫ですよ。無理はしませんから」



多分、と言う言葉を危うく言いそうになったけれど、私はそれを飲み込む。

エリカさんにそれは気付かれていないようで、私はほ、と息を吐く。



「保護したら連絡しますね、エリカさん」



私はそう言うと、花の香りが満ちた屋敷から出る。

私がいなくなった後、エリカさんがポツリと呟いた。



「お願いします…、コーラル・ベルリッツ」



そう、彼女が私のフルネームを呟いた事を私は知る由も無かった。



*****



「えっと、この辺りなんですけれど…」



街の人から話を聞いて辿り着いたのはタマムシシティの郊外。

とりあえず皆を出しておこうと思い、ボールに手を掛ける。

けれど、それは叶わなかった。



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