黒と白の姫君
□第4話 彼への任務
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「彼等に、会いたい?」
「当然だよ!…でも、今の私に勝手はできないし…」
蒼の派閥の客人として扱われている以上、イスラの顔に泥を塗るような真似はできない。
だから、私が動くことはできない。
「そうだね、確かにフユカが“1人”で“勝手”に動きまわることは駄目だ。だけど」
僕と一緒なら、問題ないんだ。
その言葉に私はパッと顔を上げる。
「だから、聞くんだけど」
君は、人に剣を向けることができる?
それは、戦うことになるということ。
「…私、守ってもらうばっかりだったんだ」
目をつむって、そう呟くように言う。
そう、守ってもらうばかりだった。
「島」では、ずっと。
戦う力がないと思い込んで。
立ち上がりさえ、しなかった。
イスラが、いなくなるまでは。
「だから今度は、守りたい。守ってみせたい」
どんなものが、敵であったとしても。
どんなものが、立ちはだかっても。
守りたい人達に剣が向けられるなら、それを持つ人に剣を向ける。
「だから、私だって戦うよ」
その為の、その位の覚悟はもうあるんだ。
そう続ければ、彼は一つ溜息をついた。
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