黒と白の姫君

□第4話 彼への任務
3ページ/4ページ

「彼等に、会いたい?」

「当然だよ!…でも、今の私に勝手はできないし…」



蒼の派閥の客人として扱われている以上、イスラの顔に泥を塗るような真似はできない。

だから、私が動くことはできない。



「そうだね、確かにフユカが“1人”で“勝手”に動きまわることは駄目だ。だけど」



僕と一緒なら、問題ないんだ。

その言葉に私はパッと顔を上げる。



「だから、聞くんだけど」



君は、人に剣を向けることができる?

それは、戦うことになるということ。



「…私、守ってもらうばっかりだったんだ」



目をつむって、そう呟くように言う。

そう、守ってもらうばかりだった。

「島」では、ずっと。

戦う力がないと思い込んで。

立ち上がりさえ、しなかった。

イスラが、いなくなるまでは。



「だから今度は、守りたい。守ってみせたい」



どんなものが、敵であったとしても。

どんなものが、立ちはだかっても。

守りたい人達に剣が向けられるなら、それを持つ人に剣を向ける。



「だから、私だって戦うよ」



その為の、その位の覚悟はもうあるんだ。

そう続ければ、彼は一つ溜息をついた。



_
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ