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キーンコーンカーンコーン…
テスト終了を告げる鐘が鳴る。急に音が溢れ始める教室で、俺はテスト回収のことも忘れてた伸びをした。
「あー、やっと終わった」
進級にかかってくる、学年末考査。
中学のときみたいに、1年の総復習で範囲がバカみたいに広い、なんてことは無いが、内容が難しい。教師達は俺らを進級させたくないんじゃないかとさえ思えてくる、イジメ。それからやっと解放された。ああ、なんて清々しいんだ……!
「これで彼女とかいればなぁ…」
テストが終わるまでは一緒に勉強して、終わったら即デート。恐ろしい結果は忘れて、適当に街をぶらぶら。出来たらいいのに。
だけど、残念ながら俺にはそんな素敵な一時を過ごすパートナーなどいない。クラスの他の男子と同じように男どうしでゲーセン行くしか道はない。
「おーい芹沢ぁ。帰りにどっか遊びに行こうぜ」
ああほら早速お誘いだ。全然嬉しくない、新鮮味もないヤローからのお誘い。
声をかけてきた奴はゴキゲンな笑顔で、椅子ごと俺に寄ってきた。
「な、行こうな?」
「わかったわかった。どうせ相手してくれる女の子なんていないしな」
苦笑いで返すと、奴もそうそうと頷いた。
背もたれに背中を預け、思い切り椅子を傾けて天を仰ぐ。そこには青い空などなく、白色が剥げた天井があるだけ。
それがより一層寂しさを煽るような、煽らないような。幸い、俺はそんなことに感情を左右される程、繊細ではなかった。
「あー、彼女ほしいー」
だらけきった格好で、呟いたときだった。
「芹沢、頭ジャマ」
クラスの女王様こと妃に、ペシッと額を叩かれた。微妙に不機嫌な模様。
なんなんだ。俺はお前に迷惑かけた覚えないぞ。あ、ってかこの前貸した(というより奪われた)傘返せ。
「あんた彼女どころじゃないでしょ。ちゃんと進級出来るの?」
「出来る出来る。楽勝だし」
「あっそ。言っておくけど、もしヤバくなっても私は教えてあげないからね」
「え…」
え?
は? 教えてあげないからって、何?
「教えてくれるつもりだったんだ?」
…………………間。
「なっ、だ、誰もそんなこと言ってないでしょ!?」
「いや、文脈的に」
「意味わかんない! バカじゃないのっ」
急に顔を真っ赤にして、怒る妃。妃を見上げて晒したままの額を、何度も叩かれる。やめてくれ。俺の脳細胞が減る。
でも。
「あー、俺が進級出来なかったら、妃のせいだから」
「はぁ!!!?」
だって俺の脳細胞を殺してるのは妃だし。そしたら、責任もって勉強教えてくれ。
にやり笑うと、ゆでダコみたいに赤くなった妃はゲンコツで殴ってきた。
(俺の有能な脳細胞よ)
(もうちょっとだけ、減ってくれ)
fin.
バレンタインフリー配布中の妃と芹沢の話。でした。
パチパチありがとうございましたm(__)m