宿の企画室

□如月の聖誕祭
1ページ/7ページ

如月の聖誕祭

二月十四日。平成の世ではバレンタインが祝われている。
何の因果か…とある事件から友達となった神威と共に、紅蓮はチョコを買いに来ていた。
正確にはチョコの材料を…だ。
神無月家の台所を借りて、昌樹にチョコレート菓子を贈ってやろうと提案され(夜中の3時にいきなり神威から提案され半ば強引にOKさせられた)渋々出てきたのだが、周りの女の視線が鬱陶しくて仕方が無い。
 神威の方もそこそこ良い男なので、声をかけられているが慣れているのかサラリと受け流している。(それでもチョコだけはちゃっかりもらっている。どんだけ欲しいんだ)
 とまぁそんなこんなでチョコレートを購入し、ケーキやクッキーの材料を購入してから二人は家に帰ろうとしたのだが、ふと紅蓮の視界の隅に一人の少女が目に入った。
髪の長い少女。そういえば…千年前の昌浩の妻もあれくらいだった。
そんな事を思った時、ゾクッと背筋が凍った。
思い出したのだ。思い出したくない如月の思い出。
 紅蓮の只ならぬ様子をおかしいとおもったのか、神威は心配そうに聞いた。

「どうかしたか?トーダ君」
「あ…いや……嫌なことを思い出してな…」
「えっ!?何々!?もしかして末っ子君の前で物凄く濃厚なプロポーズされたとか…!?
うわぁ…初心そうな顔して結構大胆だなぁ!トーダ君!見直した!」
「何をだ!?…違うっ!そういうんじゃない!!昔……千年前の話だ」
「平安時代にバレンタインってあったっけ?」
「…さぁな。ただ…そう…あの事件があった日も如月だった」

 彼の妻…表の名は藤花。本名は彰子と昌浩と…あの事件の真相を知る一部の神将の話。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ