宿の企画室

□七夕SS
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七夕SS

澪と昌樹偏


昌樹「澪!短冊に願い事書いた?」
澪 「あぁ。書いたけど…お前は…って何見てるの?」
昌樹「いや…澪のそれってさ女物の浴衣だよね」
澪 「ん?…あぁ。コレ?ツッキーに渡された」
昌樹「なんでそれを平然と着ちゃうかな」
澪 「そんなの俺が似合うからに決まってるだろ?」
昌樹「澪……カッコイイけどその格好で言ったらカッコイイ女の子っぽく見える」
澪 「ほっとけ。それより短冊吊るしに行くんだろ」
昌樹「う、うん!」

 二人は少し移動してたくさんの短冊が飾ってある大きな竹の前に行く。
遥か昔からある不思議な竹だと神将たちは言っていた。
コレに願い事を書いた短冊を七月七日の七夕の日に飾れば願いが叶うとか叶わないとか。
安倍家と神無月家しかしらない竹にはすでに沢山の飾りと短冊が結わえてあった。

昌樹「先客がいたんだ」
澪 「この飾りは喜喃と瞬星か…」
昌樹「あっ。太陰と玄武もだ。名前書いてある」
澪 「さすが子供組み。こういうの作るのは楽しみそうだな」
昌樹「他の短冊には何て書いてあるのかな?」
澪 「他人の願い事を見るのは無粋だぞ」
昌樹「とか言いつつ…澪も他の人の短冊に手を掛けてるんだけど…誰の?」
澪 「神威のだ」
昌樹「ふーん…あっ!これ紅蓮のだぁ♪」
澪 「ほぉ…クシャクシャのところから見ると無理矢理書かされたっぽい後が見えるな」
昌樹「何々…ちょっと拝見♪」

『昌樹が元気で健やかに育ちますように 騰蛇』
『給料が上がって、飲み屋のツケを完済できますように。ついでに澪たんが元気でいられますように by神威』

昌樹「紅蓮…もう相変わらずなんだから」
澪 「働けボケ」
昌樹「わぁ――!澪!千切っちゃダメ!」
澪 「大丈夫だ。罪はアイツにあるのであって短冊に罪はない。ちょっと燃やすだけだ」
昌樹「竹まで燃えちゃうからダーメ!ほら次行くよ!つーぎ!」
澪 「チッ……次は…邑挟か」
昌樹「こっちは六合だ。無口コンビが短冊書きに来たってどういう状況だろう」
澪 「さすがに会ってはないんじゃないか?」
昌樹「でもさ。もしも二人きりで会って見たところを想像してみなよ」
澪/昌樹「…………………」
澪 「気まず過ぎる」
昌樹「空気が重い。お互いがお互いどうしたらいいんだろうって空気が目に見えるようだ!」
澪 「アレで邑挟は気ぃ使いだからどうにか会話を発展させようと一生懸命な姿が簡単に思い浮かぶ」
昌樹「お互いが一生懸命すぎてなんか可愛そう」
澪 「ま、まぁ想像だしな。俺達の…会ってないことを祈ろう」
昌樹「う、うん」

『口下手が直りますように。あと、お腹一杯ご飯を食べられれば幸せです。 邑挟』
『この状況が何とかなりますように 六合』

澪/昌樹「出会ってたぁ!」
昌樹「遅かった!遅かったんだ!俺達の想像は現実のものになってたんだよ!」
澪 「短冊にまで書いちゃうほど話のネタに困ってたのか…っていうか何でうちの奴らはみんな複数願い事があるんだよ!
   おかしいだろ!普通一つだろうが!何で複数願い事があるんだよ!!」
昌樹「澪自身も特殊だからじゃない…」
澪 「何か言った?」
昌樹「いえ。何も。次行ってみよう!次!」
澪 「次は…あっ。翡翠。真面目なアイツがこんなの書くんだ」
昌樹「へぇ、意外だね」
澪 「そうだな。アイツは天に祈るより有言実行の女だから」
昌樹「あっ。俺勾陣だ。勾陣が当たった」
澪 「あぁ――…翡翠のやつうまいこと言い包められて連れてこられたな」
昌樹「えっとどれどれ?」

『今年こそ神威を抹殺できますように 翡翠』
『騰蛇のヘタレが少しは矯正できますように 勾陣』

昌樹「ど、どっちも物騒!七夕なのに何か血生臭い!」
澪 「さっすが闘将の紅一点と朱雀街の女傑ランキング二位に入る猛者共だな」
昌樹「つ、次!」
澪 「おい。そろそろ秋華達が来る頃じゃないのか?」
昌樹「えっ!あ、ホントだ。でも最後!コレだけ」
澪 「おい。早くしろ」
昌樹「はーい…えっと澪のはっと…あった!」

『今年も昌樹達と一緒に元気に過ごせますように 澪』

昌樹「………」
澪 「何やってんだ。置いてくぞ」
昌樹「はーい!」

 澪がいる方向に走っていく昌樹。
二人が並んで歩いていると昌樹の腕に澪がしがみ付く。

昌樹「ど、どうしたの?澪」
澪 「お前…俺の短冊見ただろ」
昌樹「み…見てないよ!」
澪 「罰として秋華達の前で「私、昌樹君の彼女です☆」ってなりきってやる」
昌樹「止めて!止めてください!ごめんなさい!!」
澪 「で?お前はどんな願い事書いたんだ?」
昌樹「俺?俺も澪と同じ」

『今年も澪や皆が元気に過ごせますように 昌樹』

この願いが届くかどうかはわからない。
後に、昌樹に女難の相が現れ始め一悶着あったりなどするのだが…。
願いを込めて書かれた短冊は天の川に流れ、いつか届くだろう。
そう……信じたい。
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