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□金髪の天使
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臨也が朝日の眩しさに目を覚ますと鼻先が触れそうな距離に静雄がいた。
臨也はまばたきを繰り返し、静雄の、昼間の姿からは想像しがたい幼い寝顔を確認する。
置き時計をみると、時間はまだ6時を少し過ぎたあたりだった。
そっと布団から手を抜き、脱色で痛んだ金髪をそっとなでる。
静雄は、ん、と小さくむずがったあとは、また名前通りの静かな寝息を立て始めた。
そして、ふわり、と笑って、緩やかな弧を描いた唇は、

「いーざーやー………」

そう、音を紡いだ。
臨也は一瞬、息を止めた。
白と黒だけで統一したいつもの自分の部屋に、色があふれたような、そんな錯覚すら覚える。
そして、臨也は気付いた。
気づいてしまった。
臨也が動きを止めていると、静雄は小さくうなりながら寝返りを打った。
少し離れた金色の頭を見つめて、臨也は静雄に語りかけるようにつぶやく。

「ねえ、シズちゃんってさ、もしかしたら天使かもしれないね」

臨也は小さく身震いする。
朝の空気は冷えていた。

「だってさ、俺、こんな幸せ、ひとりじゃ一生知らなかったよ」

今ならすべてを捨てられるかもしれないほど、幸せなんだもの。
臨也は静かに微笑みながら、静雄を見つめる。
金髪の合間に覗いた耳が、赤く染まっていた。

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