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□大人の余裕ってやつですよ
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がくぽはカイトのことが好きだった。
それも、恋愛対象として、だ。
もちろん告白なんてそう簡単にできないし、なんとなくアピールしようにも、周りにはボーカロイド女性陣が、何か面白い事が無いものかと虎視眈々としている。

どうしようか。
どうするべきか。

がくぽはずっと悩んでいたのだが。

「・・・どうしてこうなった・・・・・・・・」

「ん?がっくん、なんか言った?」

「いや」

何か言いたくもなるというものだろう。
がくぽはため息を飲み込んだ。
カイトはふぅん?と言いながら、スプーンを口に運んだ。
チョコレート、バニラ、ストロベリーの三色のアイスが、器からはみ出るくらいに盛られていて、カイトはそれをスプーンですくっては口に運び、のんきにうまー☆とか言っている。
 


 がくぽの膝の上で。



案の定ルカとミクが、面白そうに扉の陰から覗いていた。
リンとレンはどこかに出かけているようだ。

どうしてこうなった。

がくぽの脳内で、ただそれだけがぐるぐると無限ループしていた。
がくぽは別に、特別なことをしていたわけではない。
ソファに腰掛けて、雑誌を広げていただけだ。
何の予告も断りも無くいきなり座られてしまったので、がくぽは雑誌を持ったままだ。
カイトの背中の後ろで雑誌を掲げている姿勢。
めくり続けてはいるが、内容が頭に入っているはずが無かった。

「ねーがっくん?」

「ぅあ、な、なんだ?」

不意に話かけられて、がくぽは変な声を出してしまった。
思わず赤面する。
しかしカイトはお構い無しだ。

「背もたれ、欲しいんだけど」

「は?」

「だーかーらー」

カイトは言葉を切ると、がくぽの手からひょいと雑誌を取って、机の上に放り出した。

「よいしょっと。はー、らくちん」

満足げに息を吐くと、カイトはがくぽの胸に背中を押し付けた。
机の上に置いていたアイスの器を手に持つと、再び食べ始める。

「? どったの、がっくん。心臓すっごいバクバクいってる」

「・・・っ」

「はは、がっくんはかわいいなぁ」

「!?」

がくぽは目を見開いた。
カイトはアイスの器を机に戻すと、体をひっくり返してがくぽの首に手をかける。

「がっくん、俺の事好きでしょ?」

なんてこった。
がくぽは悟った。カイトは最初から、確信犯だったのだ。

「あのね、俺も同じだから」

「え」

「がっくんのこと、好きだから」

そのまま迫ってくる顔を拒みきれずに、がくぽはカイトとキスをした。




「ほんと、あれでバレてないと思うあたり、がくぽも若いよね、ミク」

「だよねー」

途中で退散したミクとルカが、心底面白そうにそう語ったことを、がくぽは知る由も無かった。

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