□endless
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右手が伸びた。奴にできる、一番の長さで。伸びて、手首を掴んだ。掴んで、引き寄せた。

鳴ったのは、鋼鉄と俺がぶつかる音。

奴の体に俺が落下することはなく、胸に抱きくるめられる心配もない。鉄格子を挟んだ二人に、それ以上の接触は困難だ。

ひんやりと触る鋼鉄。俺の首筋に、辛うじてかかる吐息。持ち主は、両腕を駆使し、この体を拘束した。



「もう会えないと思うと、」


言葉が、それ以上続くことはなかった。
俺も先を促したりしなかった。
その声色で、十分だった。
白々しい抵抗をしていた俺は、諦めた。俯いたまま、体の力を抜いた。奴に、身を任せた。






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