君隣空下


□零
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「くく…いいだろう…」


喉元から絞り出したような笑み。
俺は、無表情に見つめる。



「早いとこ済まさねぇとなァ…今宵は一切れしか買ってねぇんだ」


薄暗い室内に、明りを灯す。雪洞の、仄かな灯り。




「…俺が蝶なら、お前は花か…」


くくくく。淡い光に当てられて、蝶は、笑う。


花は、自分の散る様を想像しながら、目を閉じた。





【零】END
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