□或る信者
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家に着くと、手荷物を投げ捨て、一畳分の畳を上げる。その下に敷き詰められた藁を掻き分け、風呂敷を見つけ出す。

家の中で、僕はこの畳の上だけは通らない。絶対に。


風呂敷を開く。



「っ…、」


嗚咽が喉に詰まった。
十字架を胸に抱き、あなたへの愛と懺悔を述べる。




「どうか…どうか…」


僕の神様、どうか、赦して。






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