□美しい人
3ページ/193ページ




ぼくがほしいのは、美しい人。
作り物じゃなく、本人にその自覚もないなら、なおいい。




「今日から二ヶ月間、前任の先生の代わりにこのクラスの担任をさせていただきます、土方です」


そう、こんなふうに、怠惰な空気を背負った、美しい人が。

ぼくは瞬きを忘れた。今が朝のホームルーム中だってことも、ここが学校だってことも、忘れた。



「短い間ですが、よろしく」



この人にぼくのすべてを捧げよう、と、思った。






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ