君隣空下


□壱
2ページ/23ページ



【壱】


俺をこの世に生産してしまった人は、思ったのだろう。
裕福で、子のいない家の前に捨てておけば、きっと、俺は幸福になれると。


俺を見つけた「子のいない裕福な夫婦」は、大喜びだった。

そして一刻も早くと、繁華街へ走った。



『いくらで売れますかぃ?』


一歳にも満たないうちに、俺は二度、捨てられた。




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ