君隣空下


□六
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【六】



沖田さん、沖田さん、………総悟!



「と…しろ…」


辛うじて伸ばした手の先に、愛しい顔があった。



「な…んで、泣いて…」


幾筋も伝う涙を、指で拭う。其の手を、彼の手が掴んだ。
血の滲んだ、痛々しい手。



「怪我、してんじゃねぇか…」


擦り切れた手の平に触れる。


「だって…!!」


彼が声を荒げると、また、一筋流れた。



「怒ったり…泣いたり…忙しい人でィ…」


定まらぬ視点で、どうにか彼を映す。
美人はどうなっても綺麗なのだと、この目をもって知った。


しかし、悲しきかな。

オレの意識は、そこで途絶えた。






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