君隣空下
□九
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【九】
煙管で満たされた部屋に舞い込んできた、梔子の香り。
この香りが好きだった。
現実と夢の境目を溶かす、強烈な甘さ。
「其処でそうしていろ」
喋喋が、立ちすくむ彼に云う。途端に、律動が激しくなった。
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