□すごもる
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Day 1





月曜日だ、という認識は覚醒後瞬時に起こった。8:25を示すスマホを握りしめたまま、がばりと上体を起こす。こめかみと背骨のあたりに、まっすぐ、ひやりとした感覚が走る。

やべえ。遅刻。やべえ。寝坊。会社。

パニック状態の頭は単語をつなぎ合わせることができない。
隣で寝るお前の肩を掴みゆさぶる。


「おい、8時すぎてる! やべえよ、おい!」


お前は低く唸ると、迷惑そうな顔を向けた。


「なにがやべえんでい」


「お前なに言ってんの!? はやく会社に、」


そこまで言いかけたところで、俺は思い出した。


「会社には、行かなくていいんでした」


一気に体の力が抜けて、後方へと倒れ込んだ。
後頭部を包む枕の感触。流れるような動作でこの右腕を枕にした温かい体。カーテンを透かす陽光は朝日と呼ぶには明るすぎる。
俺はもう一度スマホを見た。4月20日月曜日。8:27。ここは紛れもない平日の朝である。いつもなら電車に乗っている時間である。そんな時の中にいながらも、俺は自由である。

羽が生えたような気持ちになって、この胸にしがみつくようにして眠っているお前をぎゅっと抱いた。


「むう」


「ふふ」


お前のまるくやわい頬を何度も撫でる。





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