企画
□転生ドクター
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リボーンと出会ってから今まで碌な目に遭ってないが、今日ほど逃げ出したいと思った日はないかもしれない。
つい最近、並中保健室の先生が代わった。
曰く、
『面白い先生なのな!』
曰く、
『……まぁ、悪い人ではないと思うわ。』
曰く、
『…医者としての腕は確かです―――…でも余程の事がないかぎり俺は会いたくはありません。』
曰く、
『とっても可愛い先生だよ。
そう言えば甘いものが好きみたいで、この前フレンチクルーラーの美味しいお店を教えてあげたら凄く喜んでくれたの。』
曰く、
『典型的な草食動物だね。ただ、群れずに仕事をしっかり熟してる点だけは認めても良いけど―――…あの恰好は風紀を乱している。』
そう言ってトンファーで不良を殴り倒す姿は、溜まりに溜まった苛立ちを一気に発散させているようだったと後に目撃者は語った。
風紀委員長のカンに障りながらも生きながらえているのは、その保健医が特異な人間であり―――…
ただ単純にお近づきになりたくないタイプの人間だからだろう。
例え制裁が理由であっても―――だ。
並中生なら知らない人間はいない。
直接見たことなくても何かと逸話の多い保健医。
真偽がどうであっても、一つくらいの噂なら誰もが知っていた。
知らなかったのはきっとオレくらいか……。
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