短編1
□あなた
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「ど、うしたの、急に」
ポン、と叩かれなだめられる
背中にとんとんとこいつの叩くリズムが響いた
「やっぱりあんたはよくわかんないよ」
こいつの記憶が消える、ということは
俺のことも忘れてしまうということ
「でも、いっつもあんたは」
「助けて欲しいって顔してるの」
優しく響いたこいつの声
俺に笑った言葉も、時間も、もう全ては懐かしい思い出
嗚呼もうすぐでタイムリミット
もうすぐで、こいつは俺を忘れるだろうし
沢山の思い出も、忘れてしまうだろう
『イタチが悪いんだからね!』
『どんだけ探したと思ってんの!?』
「すまない…っ、」
「……イタチ、」
「すまなかった…っ、だから…っ」
「大好きだよ、イタチ」
いつまでも、謝るから
俺が全て悪かったから
頼むから、お願いだから全てを壊さないでくれ、
「私がイタチのこと忘れるわけないでしょ?」
頼むから、こいつだけは
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